新町商栄会報告書について

川上 正司

(1)新町商栄会の概要

ア.歴史
新町商店街の歴史は古く、昭和35年(1955年)に発足した。当時は、新町銀座通りと呼ばれ、八百屋、魚屋、肉屋、お菓子屋、パン屋、銭湯など、高度成長に合わせて発展してきたが、昭和54年(1979年)に銭湯が閉店したのを皮切りに次第にさびれていった。現在では、飲食店、クリーニングなど、数軒の店舗を残すだけの通りとなっている。現状では、とても商店街とよべるような状況ではない。
イ.街の駅事業申請の狙い
商店街の近くには、善福寺公園、井草八幡宮など区内有数の観光資源があることから、新町地域に「街の駅」を設置して観光の拠点として活用し地域の活性化を図るという考えである。商店街と小学校等が連携することも視野に入れている。
ウ.背景
新町商店街内に、所有者が商店街のために活用してもらっても良いと考えている空き店舗のオーナーが存在することが、「街の駅」構想の出発点となっている。現在、同店舗は永らく放置状態で、オーナーは老人ホームに入居し、身寄りもないとのことである。
エ.施設の内容と利用者
(ア)地域案内、休憩施設(トイレ等)、展示・イベント会場、安全パトロール隊

基地、事務所機能付スペース等が施設内容である。

(イ)地域住民の日常利用の他、地域(公園、お宮)への来訪者等利用を想定し

ている。
(2)支援内容
ア.依頼内容

杉並区の補助金を獲得できるような事業計画作成の支援を依頼された。

イ.支援概要

平成21年6月から12月にかけて、計6回の指導を計画。商店街の出席メンバーは、会長、事務局、推進委員会メンバー(数名)にて構成された。
支援内容としては
1)会長及び商店街幹部からのヒアリングの実施

2)現地調査

3) 実施スケジュールの確認

4) 実施すべきことの優先順位の検討

5) 区内で実施された、高円寺、井萩地区での街の駅実行計画の研究

6) 解決しなければならない課題の抽出

7) 実施計画の作成であった。
ウ.結果
最大の課題は、空き店舗の改修費用である。街の駅とする施設の内装等に関しては補助対象になるが、屋根や基礎など建物の骨格部分は補助対象にならない。

当該空き店舗を街の駅に改装するためには、屋根や基礎など建物の骨格部分の改修が不可欠で、そのためには数百万円程度の自己資金が必要となることが判明した。商店街が資金を確保できる見通しが全く立たず、結局、この計画は断念された。