東田町バス通り商店会の活動支援について

青木 宏祐

東田町(ひがしだまち)というのは杉並区発足当初の地名であり、実際の住所は区役所が立地する南阿佐ヶ谷の南東に位置する成田東1丁目と3丁目です。五日市街道沿いに約400メートルにわたり、東には松ノ木八幡通り商店会、西には成田商店会が続いています。
当会は、昭和44年に発足した会員数が約40の小規模な任意団体です。街路灯やアーケードはなく、バス通りを挟んで、断続的に約40の商店が並んでいます。非店舗やシャッター店舗も目に付き、決して活気があるとは言えません。「サミット」、「コープ東京」、「ドラッグセガミ」といった大型店が街区の中央に位置し、地域住民の買物の利便性を保っているという状況です。
しかし、小規模ゆえに会員の結束力はとても高く、例年、地域との交流を深めるイベント事業(梅里中央公園での盆踊り大会や東田小学校での地域ふれあい運動会等)を実施し、多くの地域住民を楽しませています。当会の問題点は次のように整理されます。

(1)ハード面

  • 街路灯が東京都設置のものだけであるため、夜間は暗く街区の安全性に欠ける。また、昨今では防犯上の取り組みも考える必要がある。
  • 新しい店舗と老朽化した店舗が混在しているため、街区の統一性を高めるような環境整備に迫られている。

(2)ソフト面

  • 個店および商店会活動の告知の機会が少ない。
  • 年2回行われている大規模なイベント事業が、街区以外の場所で開催されているため商店会の集客につながっていない。

様々な問題を解決するための第一歩として、現在、当会において長年の懸案事項だった「装飾灯設置」を具体的に計画し、推進中です。幸い、東京都の「環境対応型商店街活性化事業」が当年度(23年度)から3年間限定で実施されており、設置費用の3分の2を補助してくれます。さらに区の補助を上乗せすることができ、これにより、設置費用の多くを補助金で賄うことができます。23年春から積極的に役員会に働きかけをしました。24年度の申請を実現するには、当年中に下地を作っておかなければならないからです。度々の議論を重ねた上で実施の方向性が定まり、イベント事業が落ち着いた10月に装飾灯設置委員会(7名+アドバイザー)を設置し、次の事柄を実行してきました。

  1. 工事業者数社の見積りやプレゼンテーションによりイメージと工事費用総額の把握。
  2. 商店会負担の出費を承認してもらうため、当会の会員向けに計画を告知し、11月中に説明会を開催、承認を取り付ける。
  3. 地域一帯での取り組みを表明し、12月16日には地域住民向けの説明会も実施。地域的な同意を得る。

今回、計画推進の手助けとなるように、案内を数パターン用意しました。

ここまで順調に進んできた要因として、商店会会長と副会長が商店会会員や町会長に対しこれを手配りし、「声かけ」によって案内したことがあげられます。また、この案内をきっかけに、何店舗か存在している非会員の入会を近所の役員が促しています。今回のプロジェクトを通じて生まれてきた役員達の積極的姿勢の現れです。

地域的な承認を得たところで、年明けから業者選定や東京都、杉並区の各種の手続に入ります。そして、来春に正式に申請を行い、秋頃に着工・完成を目論んでいます。

しかし、立派な装飾灯が設置されたとしても、商店街は明るくなるとは限りません。商店街の本来の明るさは、商店の明かりによるものだからです。実態調査でも「装飾灯を設置しても、必ずしも商店街は繁栄していない」とよく示されています。大切なことは、装飾灯設置というハード事業を行うだけでなく、そこにソフト事業を絡ませて集客を実現することです。これこそが、私達アドバイザーの役割といえるでしょう。

アドバイザーに就任して以来、商店会役員の意識を1つに束ねることに注力し、ハード事業実施の方向へと進んでもらうことができました。今後は、商店街HPによる情報発信、街区を利用したイベント開催等、更なる活性化に向けた提案を行い、アクションを促したいと思っています。