第5回杉診サロン報告書(一番やさしい事業承継の説明会)
第5回杉診サロン(平成22年3月5日開催)報告書
第5回杉診サロンが、平成22年3月5日(金)18.30時から杉並区立産業商工会館で開催された。今回は、事業承継コンサルタントとして活躍されている城西支会の内藤 博氏が「一番やさしい事業承継の説明会」のテーマで講演をされた。家系図づくりから始まり、事業承継計画表づくり、その計画に基づく承継の流れを説明された。事業承継の本質は「知的財産の承継」であり、経営者としての最後の永遠のテーマであると結ばれた。
1.家系図づくりの大切さ
承継すべき資産(土地・建物・株式・負債等)の内容、承継候補者(番頭、妻、子など)を明確にする。あわせて、課題等があれば整理する。
2.事業計画表の作成
思いを共有化し、計画化し、実践していく。実施にあたっては、家族会議の開催が特に重要である。また、円滑な事業承継をすすめるため、現経営者と後継者との会話が必要である。
3.事業承継の分類とその流れ
大きく、3つのパターンが想定される。①親族内承継、②従業員等への承継、又は外部から招聘、③売却の場合に分類される。各パターンの重要事項について整理する。
4.事業承継の本質は「知的財産」の承継
「知的財産」とは、財務的な果実を生み出す企業の基礎や強みの源泉であり、“事実そのもの”である。また、事業承継の成功には、この知的財産をいかに検証できるのかが鍵である。
5.事業承継計画表の認証申請から始めましょう(メリットは下記の通り)
(1)経営承継円滑化法(平成21年9月施行)で定めた、相続の80%、贈与税の100%の納税猶予ができる。中小企業庁への届け出となる。
(2)民法の特例で、相続の遺留分の除外(自社株と事業運営資産等を相続財産から除外する)や株価の固定合意(一定時点で固定し、時価評価額を決定する)ができる。
(3)金融支援が受けられる。日本政策金融公庫の事業承継支援資金融資が受けられる。
6.質疑
(1)事業承継に関心をもったきっかけは?→祖父の日本橋の店は大変繁盛していたが、娘6人(内、一人が自分の母親)の相続問題で結局はつぶれてしまったこと。
(2)事業承継に当たって重要な事柄は何か?→人間は必ず死ぬことも事実であり、できれば早い段階からの準備と実施にあたり家族会議の開催が重要である。
(3)ソフトな経営資源の重要性と活用の方法は?→ソフトな経営資源の内容について具体的にどのような状態か認識させることが必要である。また、銀行が主催する事業承継のイベントに参加させ、その内容を再確認させるのも一つのやり方である。