第8回杉診サロン報告書(事業型NPOを実践する中小企業診断士)
今回は、コミュニティビジネスの第一人者である関本征四郎氏に「事業型NPOを実践する中小企業診断士」のテーマで講演をお願いし、城西支会笹倉総務部長はじめ29名の受講者が集まった。講師は、60歳の定年後にこのNPO活動に取組まれたそうである。具体的な実践例を中心としたわかりやすい内容であったため、講演後にも活発な質疑応答がなされた。
講演の要約は、以下のとおりである。
1.コミュニティビジネスとは
(1)コミュニティビジネスの定義(関東経済産業局)
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地域の抱える課題を地域住民が主体となってビジネスの手法を活用しつつそれらを解決するための事業活動
(2)誕生の背景
ア.人口構造の変化(少子高齢化)
イ.市民は、考え、行動する
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①未来への不安 ←財政の破綻(国850兆円の借金) ②自分の住む地域を見つめ直す ←豊富な地域資源・経営資源がある
③生活の視点からまちづくり ←地域ニーズを考える
ウ.地域力競争(行政もコンペティション、地域ブランドの訴求)
エ.地域と市民活動の実際(どこで相談するか、ボタンティア活動はどのようにするか等)
2.事業型NPOへの重要性
(1)役割は、地域活性化の担い手で、キーワードは、①まちビジネス、②起業である。
(2)事業型ビジネスの範囲、位置づけ
CB(コミュニティビジネス)の視点
項目 |
従来のビジネスの視点 |
コミュニティビジネスの視点 |
利害関係 |
単純:時間 |
複雑:長時間 |
マーケティング |
大きい:強い |
小さい:スマート |
事業コンセプト |
競争:利益志向 |
共生:草の根的 |
成果 |
効率:生産性 |
意義:意味 |
(3)コミュニティビジネスとNPO
コミュニティビジネスの運営主体の80%は、NPO団体である。
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全国NPO認証団体(平成22年4月30日現在)認証数 39,893団体
東京都NPO認証団体 6,519団体
内閣認証(全国) 3,156団体
3.パブリックビジネスは、コミュニティビジネス起業の一大チャンス
(1)パブリックビジネスとは、
行政が提供している公共サービスの内、民間による関与可能な活動
(2)類似の言葉
市場化テスト、民間へのアウトソーシング、指定管理者制度、提案型公共サービ
ス民営化制度等
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指定管理者制度とは、平成15年地方自治法の改正(平成17年施行)で 骨太の方針「民間でできる事は民間に」
(3)パブリックシステムの拡大
4.コミュニティビジネスの運営
(1)団体・法人(CB)の課題
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経営 不安定、経験不足、相談・支援体制不足 事業 アイデア不足、拡大に難点 人材不足 育成、人材確保難 資金 融資:担保能力の欠落、不足等、助成:評価基準と方法など 広報 資金難、宣伝不足、販売力が弱い 情報・ネットワーク 情報・ネットワークの偏り懸念
(2)コミュニティビジネスの起業の条件
社会環境の変化・法改正時がビジネスチャンスである。(首長が変わるなど)女性
力の活用は、特に大切である。
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- 地域への想い、②女性力の活用、③ネットワークの活用、④行政仲間
(3)CB起業のコツ(次のことを明確にすること)
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①住んでいるまちの地域資源は、②自分が何をやりたいのか、③何ができるのか、④活用できる地域ネットワークは、⑤目的と目標(2W5H)は、⑥具体的活動計画は
(4)資金調達の方法
自分の経験からすると、会員からの有利子の資金調達が有効と考えている。
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①自己資金、②家族・友人・知人・支援者、③クライアント・取引先、 ④政府機関・銀行(信用金庫、労働金庫、国民金融公庫、地方銀行、大手銀行等)
⑤信用保証協会、⑥寄付・助成金、⑦私募債など
4.質疑(→は、講師の回答)
(1)自分は在宅介護、孫の面倒見と悩みが尽きない、こうしたなかで大切なことはなにか。→①PPK(ぴんぴんころり、普段健康で、ある日突然に死亡)が一番よく、スポーツジムに通うなど日常の介護予防が大切である。あわせて、②仕事をする。③自分で普段から対策を立てて地道に実行していくことが大切であると思っている。
(2)パブリックビジネスで大切な安孫子市や千葉県とのコミュニケーションはどのようにとっているか。また、NPO法人の事業企画はどのように立てているか。→①は、こまめに出かけていくことを心がけている。安孫子市は予算をくれないが、機会をとらえてNPOの宣伝をしてくれる。②は、女性からの企画提案があり、それを理事会で検討・協議し実践している。理事会で合意した政策しか実施しない。CB(コミュニティビジネス)を実践するNPOとして、女性の力を重要視している。組織の運営上では、報連相(報告、連絡、相談)が非常に大切だと考えている。
(3)NPOの事業で赤字になったら、どうするのか。→見込みがない事業には、取組まないのが基本姿勢である。