第15回杉診サロン報告書(地域通貨事業について)
9月2日(金)に,9月度杉診サロンが阿佐ヶ谷地域区民センターで開催されました。
杉並区では地域通貨の導入が検討されていますが、今回は渋谷区を中心に広まっている地域通貨「アースデイマネー」の運営団体であるNPO法人アースデイマネー・アソシエーション代表理事の嵯峨氏を講師にお迎えし、地域通貨事業についてご紹介頂きました。
(1)アースデイマネーの概要について
アースデイマネーは、ボランティア参加者、ボランティアプロジェクト(事業を運営するNPO法人)とアースデイマネーに参加するお店の3者を結ぶ地域通貨である。
ア.アースデイマネーの運営法人
アースデイマネーは、特定非営利活動法人アースデイマネー・アソシエーションにより運営されている。アースデイマネーは2001年10月に運用を開始された。当初はアースデイマネー・アソシエーション任意団体として活動をスタートしたが、2002年1月に特定非営利活動法人になった。現在4名の理事と1名の監事で運営されている。
イ.アースデイマネーの単位
アースデイマネーの単位は「r」(アール)です。「r」の由来は、川を意味する英語「river」の頭文字からとられています。アースデイマネーが生まれた渋谷の街には「渋谷川」という川が流れています。この川の上流は、いまは道路で蓋をされていますが、かつては、あの唱歌「春の小川」の舞台になった場所なのです。いまや三面コンクリート張りの渋谷川、あるいは、暗渠となって姿も見えなくなった川ですが、いまからおよそ100年前にはそこに春の小川があったということ。東京の中心部で環境のコトを考えるにあたって、「春の小川」は象徴的な存在と考え、川(river)の頭文字をとってアースデイマネーの単位は「r」と名づけられました。
ウ.アースデイマネーのカタチ(形態)について
アースデイマネーには「チケット」と「モバイル口座」がある。①チケットには、青色の「50r」と黄色の「100r」の2種類があり、2001年10月にアースデイマネーがスタートして以来、これまでに3回印刷し、その都度デザインが変更になっていますが、現在でもすべてのチケットが利用できる。②2005年12月にモバイル口座の形態が導入されました。モバイル口座は、携帯電話やパソコンなどからアクセスでき、ネット上の「口座」にアースデイマネーを貯めることができるため、「r」をたくさん手に入れてもかさばらず、また、携帯電話を使っていつでも利用できる利便性を考えてつくられました。モバイル口座は、誰でも簡単に、口座開設をすることが可能で、パケット料金を除けば、月額利用料なども一切かからず無料で利用できる口座である。
(2)アースデイマネーへの参加プロジェクト、参加店、参加者について
ア.アースデイマネーの参加プロジェクト(NPO等)
渋谷を舞台に活動するNPOが着実に増え、渋谷Flowerプロジェクト、NPOサポートセンター等30プロジェクトが参加している。
イ.アースデイマネーの参加店
当初は10店舗ほどからスタートした参加店の輪は、じわじわと広がり、現在、ピープルツリー、アンテナ、パブリックハウスカフェ&ラウンジ、虎子食堂等150店を超すネットワークとなっている。各お店では、100rから200rの割引(1r=1円)を行っている。
ウ.アースデイマネーの参加者
アースデイマネーの参加者は、参加プロジェクト〔NOP〕を通じ、現在約4,500人である。
(3)アースデイマネー・アソシエーションの行っている企画事業
アースデイマネーの拡大のため、アースデイマネー・アソシエーションは次の様なイベントを企画し行っている。アースデイマーケット〔農家参加の野菜市場〕,オリジナルファーム・スタデイ・ツアー(農家と飲食店オーナーとのマッチング)、アースブック(アースデイマネーが選んだECOブック)等
(4)アースデイマネーが長続きしている理由
アースデイマネーは、現在渋谷地区を中心に広く運用されていますが、嵯峨氏は、アースデイマネーが地域通貨事業として長続きしている理由として以下の3点を挙げておられました。
ア.参加店が150店程度あること。
イ.システム維持〔ホームページ等〕に力を注いでいる。
ウ.口座システム〔携帯電話器の利用〕の立ち上げ。