第25回杉診サロン報告書(調査事業でのIT活用)
第25回杉診サロンが9月4日(金)に杉並区立産業商工会館で開催されました。今回は、当診断士会の岡崎会員に、「調査事業でのIT活用」をテーマに2時間の講演をして頂きました。岡崎さんは診断士として独立する前は大手電機メーカーでIT関係の仕事をされていました。その経験を元に「杉並区商店街マップ活用調査事業」で調査入力用紙の作成や集計作業等を行いました。その調査事業の中でのIT活用の内容を語っていただきました。以下その概要を紹介いたします。
- 商店街マップ活用調査事業(緊急雇用創出事業であり、事業額(基金)に占める新規雇用の失業者に係る人件費の割合が50%以上であることが前提の事業)(1)平成21、22年度に実施された杉並区商店街マップ調査から、特徴のある4商店街を抽出し、その商店街を調査し、商店街ごとの課題・対応策のとりまとめを目的としている。(2)商店街調査(通行量調査、来街者調査、商店主調査、データ入力)を実施しました。(3)マップ調査(商店街の店舗状況調査、データ入力・データベース化)を実施しました。(4)担当した主な内容
(i)来街者調査(入力データシートの作成、グラフ作成、入力データ加工)
(ii)商店主調査(入力データシートの作成、グラフ作成、入力データ加工)
(iii)通行料調査(グラフ作成)
(iv)マップ調査(マップ調査手順の作成、マップ調査資料の作成、マップ調査のデータベース化、データ加工)
- アンケート用ツールの変遷(1)事前準備データ処理を考え、以前作成したアンケート用ツールを改良しました。改良点は各設問毎のシートを用意し、それぞれの設問集計を自動的にできるようにしました。(2)運用時(i)シート生成・入力は、概ね成功しました。しかし、対応できない部分がありました。
(ii)データシートだけでなく、グラフの生成もできるようにマクロの作成を行いました。
(3)運用後
データの完全なデータベース化をします。ただクロス集計のツール化は未完です。
- アンケート用ツールの構成(1)アンケート作成アンケートの設問の作成、設問を組み合わせたアンケートの作成をしました。(2)外部出力・入力集計用エクセルシートの作成、エクセルシートから入力データを取り込みました。
- データベース用ツール}(1)データ入力用マクロ各年度の入力(商店会マスター、店主マスター,店舗情報、業種コード、地域コード情報)。(2)データ統計用マクロ廃業率・新店率集計、商店街店舗構成、ランキングによるレーダーチャート等。
(3)店舗検索フォーム
商店街の店を簡易検索するプログラム(①店名、②調査年度、③商店会名、④地域指定、⑤業種指定)。
- 店検索の処理}(1)準備:フォームの起動。(2)検索:検索情報の入力、検索結果のデータテーブル化。(3)表示:検索結果のレポート表示。
- 廃業率・新店率の処理(1)準備:対象の商店街の今年度の店舗数。(2)差分:前年度からなくなった店の数、今年度開業した店の数。(3)比率:廃業率・新店率。
- 商店街店舗構成作成(1)並び替え:商店会・調査年度、業種。(2)集計:業種ごとの集計、集計値のデータを保存。(3)出力:商店街毎の業種ランキングデータ作成、集計値をエクセルファイルにする。
- ランキングにより商店街の特徴をレーダーチャートで出力(1)商店街の業種の割合を計算。(2)全商店街の業種の割合をランキング。(3)ランキングをベースに個々の商店街のレーダーチャートポイントを作成。(4)レーダーチャートポイントを元に各商店街のレーダーチャートを作成。
- マップ作成の7つ道具(i)店舗インデックス、(i)店舗リストチェックシート、(iii)店舗別情報更新シート、(iv)商店街地図、(v)業種別表、(vi)新店舗記入表、(vii)割り当て表、時間テーブル。
- 商店街ごとに作成するもの(1)店舗インデックス:商店街の名前順のインデックスシート(エクセル自動作成)。(2)店舗リストチェックシート:商店有無のチェックシート(エクセル自動作成)。(3)店舗別情報更新シート;商店の情報変更を書き込みます。(4)商店街地図;商店街地図(マピオンの地図からの抜き取りと区の商店街マップ)。
(5)割り当て表、時間テーブル:各調査チームの割り当て及び作業時間指示。
- 業種別表の不備及び改善(1)業種別表では区分できない業種があります。→改善策として、業種内容と業種別表を対応させる表が必要となりました。(2)当日の各担当者が対応しました。
- 印刷の作業量(1)今回の作業は紙ベースで行ったため、結果的に膨大な印刷料となりました。→印刷総数;5,793枚でした。
- まとめ(1)アンケート用ツール元々あったものの再利用で作成は容易でした。今後はACCESS上ですべてできるよう改良が必要です。(2)データベース用マクロ汎用的なマクロにまとめる必要があります。
(3)運用のためのマクロ
最終的にコマンド一つで作成できるようにしました。
おわりに
今回は、調査事業に於けるIT活用について具体的ノウハウをご説明いただき、今後の調査事業推進の参考なりました。