第24回杉診サロン報告書(5Sは企業革新の基礎づくり)

8月3日(金)の杉診サロンでは、当診断士会の会員である山内喜彦氏から「5Sは企業革新の基礎づくり」のテーマで講演していただきました。骨子は、以下のとおりでした。

企業を取り巻く事業環境はめまぐるしく変化しており、その変化に合わせて自らを革新していく必要があります。企業の事業活動を支えるのはお客様であり、お客様満足をいかに向上するかが重要な活動となります。

5Sはお客様満足度を上げるための意識改革の活動であり、製造現場のみならず、販売、設計、管理などを含む企業全体の改革を進めていく基礎といえます。

  1. 5Sとは、整理、整頓、清掃、清潔、躾のことをいいます。
    (1)整理 要るモノと要らないモノに区分し、要らないモノを処分すること。
    (2)整頓 要るモノを所定の場所にきちんと片づけ、いつでも使えるようにすること。
    (3)清掃 身の回りや職場をゴミ・汚れのない状態にすること。
    (4)清潔 いつ誰がみても、誰が使っても不快感を与えぬようきれいに保つこと。
    (5)躾 職場のルールや規律を守り、実行する習慣を身につけること。

     

  2. 5Sの目的は、ムダ取りによる利益の向上(儲け)に貢献することです。
    5Sのプロセス活動を展開→ムダを省く→失われていた利益を取り戻すことです生産現場と事務部門のムダ

    生産現場のムダ 事務部門のムダ
    作りすぎのムダ 進みすぎのムダ
    在庫のムダ 仕事・資料の溜め込みのムダ
    運搬のムダ 運搬・歩行のムダ
    不良のムダ 間違いのムダ
    加工のムダ 作業のムダ
    動作、手持ち、管理のムダ 動作、手持ち、管理のムダ

     

  3. 5S実践のポイント、5Sの要とは
    (1)管理のサイクルを廻すことが必要です
    (2)3現・3即・3徹を実施します

    3現 現場へ行き、どのような問題があるか、その現実を知り、その現物に手をつけて解決策を見出します。→更に進んで、5ゲン主義(原理・原則)へ
    3即 問題を現場でとらえたその時(即時)、その場(即座)で、すぐに対応(即応)する。現場での問題は時の経過で変わるため、3即が必要です。
    3徹 実際に活動を始めたら、当初立てた方針を最初から(徹頭)、最後まで(徹尾)、こだわり続ける(徹底)ことが大切です。

    (3)5Sの要は「躾」であり、「人づくり・心づくり」をすることが重要です。

  4. 5Sをおこなうとなぜ儲かるのか
    (1)整理整頓ができれば、“モノ”を探す時間が少なくなります。(時間効率のアップ)
    (2)整理整頓が進むと、スペースに余裕が生まれます。(場所の効率アップ)
    (3)修理部品や資材管理がきちんとできるようになり、必要なものを必要以上にもたないため、かなりのコストメリットが生まれます。(費用の削減)
    (4)整理整頓が進むにつれ、現場での段取り改善が進むようになり、設備の稼働率が向上し、労働時間の質が向上します。(生産性のアップ)
    (5)清掃も同様。清掃が常に行き届くと、品質トラブルが減少し、設備の故障停止の頻度も減ってきます。(ロスコストの減少)
  5. 5Sの効用として、別の5Sが発生します
    Sales(販売力の強化) きれいな工場や事務所はそれだけで売物になります。工場・職場見学が増え、注文を出す業者が増加します。
    Saving(節約) 工具や消耗品、時間の節約等コストダウンができます。
    Safety(安全) 広く、明るい、見通しの良い職場づくりや機械の点検、服装や保護具による職場の安全確保ができます。
    Standardization(標準化) 職場全員が決めたことを正しく実行することで、品質・コストは安定し、不良率0%を目指せます。
    Satisfaction(生き生きした職場づくり) トラブルのない、風通しの良い、明るくて皆でやれば、何でもできる生き生きとした職場づくりが可能です。
  6. もうひとつの5SとまとめSalt(塩)、Snacks(スナック)、Sitting(座りっぱなし)、Smoking(タバコ)、Sugar(砂糖)の5Sがあり、生活習慣病にならないために追放すべき5S。(花巻労働基準局の署長さんが提案)自分自身の5Sと会社における5Sにより、健康な体と健全な会社をつくり、公私共に明るい未来を切り拓きましょう。