第17回杉診サロン報告書 (杉並NPO支援センター業務の紹介)

11月4日(金)に第17回杉診サロンが阿佐ヶ谷商工会館で開催されました。 今回は、杉並NPO支援センターの井上征男センター長を講師にお迎えし、CB(コミュニティビジネス)についてご紹介頂きました。

Ⅰ. 杉並NPO支援センター業務の紹介
1.杉並NPO支援センターの運営業務
杉並NPO支援センターの業務は、杉並区すぎなみ地域大学が発注者で、受託者がNPO法人CBすぎなみプラス(代表;味香 興郎)である。杉並NPO支援センターの運営業務は、以下の業務である。

(1)NPO等活動の相談、(2)情報の収集・提供、(3)相互の交流及び共同の推進、(4)組織運営力への人材育成、(5)すぎなみ地域大学生の活動支援、(6)活動に関する学習機会の提供、(7)活動の支援及び推進

2.NPO法人数の推移と収支状況について

現在、NPO法人の数は、全国で約45,000法人、杉並区では約320法人ある。NPOの収支は、杉並区NPOの任意選択52社中、赤字法人は25社(48%)の状況。

Ⅱ. CB(コミュニティビジネス)が期待される理由について

1.CB(コミュニティビジネス)が期待される理由

(1)地域の課題を解決に、行政だけでは不足(小さな政府、民間にできることは民間に)、(2)元気なシニアが活動場所を模索中、(3)地域の課題は、地域に精通した地域住民に、

(4)民間ベースの復旧・復興

2. CB(コミュニティビジネス)の特徴

(1)自分のやりがいと地域のニーズが一致、(2)CBの経験者が必要、(3)こんなものが地域にあればいいがスタート、(4)行政の応援がもらえる事業を、(5)地域のニーズに応え雇用を創出、(6)収益基盤が弱い、(7)収益優先だけでは地域に嫌われる、(8)CBの経験者がスタッフに不可欠、(9)経済的自立と社会貢献、(10)給与は中小企業の半分

3.CBとボランティアの違いについて

(1)CBのメリットとデメリット

メリット (1)活動の継続、(2)対価が得られる
デメリット (1)事業責任、(2)ルールが厳格

(2)ボランティアのメリットとデメリット

メリット (1)気軽さ、(2)友達感覚
デメリット (1)継続性が薄い、(2)対価が無い

4. CB活動の主な例について

福祉・医療(介護・障害者・保育など)、環境(リサイクル・有機農薬・地域資源活用街)、街づくり(商店街活性化・街の駅)、人材育成(生涯学習・パソコンスクール)、生活サポート(家事代行・人材バンク・便利屋)等

5.CBの運営形態

(1)社会福祉法人、(2)NPO、(3)株式会社、(4)個人経営、(5)社団法人、(6)LLP(組合)がある。

Ⅲ.NPO法人化について

NPO法人化のメリット・デメリット

メリット (1)契約の主体可(預金等)、(2)個人と法人の区分、(3)雇用等が容易、(4)助成金等に有利、(5)行政の委託が望める、(6)介護等の指定事業者に、(7)情報の公開性
デメリット (1)個人経営より手間が煩雑、(2)法人住民税が課税される、(3)行政の監督下にある、(4)解散時の財産が戻らず、(5)財政状態が筒抜け

2.NPO法の改正

改正NPO法がH24年4月に施行される。以下が主要な変更事項である。

活動分野の追加(観光、農林・水産・山林等3分野追加)、所轄庁変更(内閣府の認証が各都道府県へ)、認証必要期間(時間を短縮(約2か月程度))、 信頼性向上(収支計算書を事業報告に)、認定NPO制度(税法からNPO法へ移管、認定機関も国税庁から都道府県へ移管

3.杉並区NPO支援基金

杉並区のNPOへの支援は、H14年から開始。H21年は29件、約190万円(1社平均;6.5万円)、H22年は13件、約130万円(1社平均;10万円)である。

4.杉並区のNPOとの協働

(1)公共(協働)とは、H14年施行の区の基本条項によれば「地域の課題を解決するために、民間と協力」

(2)協働の効果;区のガイドライン(H20年)

1.住民;きめ細かい公共サービスが望める。税の活用・行政への関心が高まる。

2.NPO;活動の場が広まる。

3.行政;より住民に沿った公共サービスの提供、仕事の見直し行政のスリム化 。

5.新しい公共とは

(1)目的;市民が公共サービスの主役、行政は権限を委譲。

(2)発端;行政の一様なサービスの限界、市民活動で解決できるケース多い。

(3)背景;欧州の福祉優先国家の財政破綻、サッチャーの「小さい政府」発言。

(4)現在;政府が予算87.5億円計上、円高・デフレ経済対策の一環、各県等が協働等で取り組む活動を支援(2年間、H25.3月まで)。